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水のアジア展の楽しみかた:サテライト会場編

 71日に開幕した水のアジア展は、多くのお客様にご来場いただき、7月末の時点で目標入場者数の1万人を突破いたしました!本展は、新型コロナウイルスの影響で開幕までに2度の延期を余儀なくされましたが、こんなにも多くのお客様にご鑑賞いただけていることに大きな喜びを感じております。展覧会は93日まで続きますので、まだご覧になられてない方はぜひ足をお運びいただければ幸いです。

 さて、今回は「水のアジア展の楽しみかた」ということで、サテライト会場である「ボートレース福岡」で展示をしている大型作品をご紹介いたします。ボートレース福岡は中央区那の津にある競艇場で、場内には広大な芝生広場があります。この芝生広場は、様々な目的を持った市民の憩いの場になっており、ゴザを敷いて寝転んだり、ご飯を食べながら休憩したりもできます。

ボートレース福岡の芝生広場。

このサテライト会場で展示しているのは、水のアジア展出品アーティストである台湾の安聖惠/峨冷.魯魯安さん(以下、アレンさん)に2年前から打診、打ち合わせを重ねてきた作品になります。アレンさんは、台湾・台東の海辺に竹で制作した巨大なベンチを恒久設置するなど大型作品のご経験があったため、快くこの依頼を引き受けてくださりました。さらに福岡の庶民に親しまれ、今なおたくさん食べられている「鯖(さば)」の存在をお伝えしたところ、アレンさんはなんと、この「鯖」モチーフに作品設計をしてくださいました。

安聖惠/峨冷.魯魯安 《そこにある海》2023

モチーフが決まったらいよいよ制作です。実はこの作品、台湾からまるごと輸送して芝生広場にポンと置いたわけではありません。骨組みは台湾で制作し、表面の太い竹ひごは熊本県の竹職人さんに依頼して準備してもらいました。また竹を表面に張り付けていく作業は、アレンさんとアシスタントの台湾チーム、そして福岡を拠点に活動するアーティストや若き職人さんたちのチーム総勢約10名で約8日間かけて作られました。

この期間、両チームは言語の壁をこえて身振り手振りでコミュニケーションをとりながら親睦を深め、美術家たちの台日交流の場となっていたことが印象的でした。

骨組みの到着。Photo by 廖賢慧


作業の安全を祈って台湾式の地鎮祭を行う。Photo by 廖賢慧


竹を選び、切って固定していく、を繰り返す。Photo by 廖賢慧


雨のなか、ひたすら竹を固定する作業を繰り返す。Photo by 廖賢慧


残すは尻尾と尾ひれのみ。Photo by 廖賢慧


即席の雨除け(ブルーシート)を作ってしのぐ。Photo by 廖賢慧


ついに…完成!Photo by 廖賢慧

7月上旬、不安定な天気のなか粘り強く制作を続けた台日チームの努力によって、力強い作品が芝生広場に誕生しました!骨太な鉄の構造にツヤツヤと光る竹の素材が美しく、今にも動き出しそうな躍動感に溢れています。

アジ美会場はもちろんのこと、サテライト会場に展示してあるこの作品も、この機会に多くの方々にご鑑賞いただき、そして実際に座って博多湾の海の風を感じていただきたいと願っております。

 

◆展示情報◆

ボートレース福岡の芝生広場では台湾の美術作家・安聖惠 / 峨冷.魯魯安による風の吹き抜ける魚のベンチを置き、訪れる皆さまに憩いの場を提供します。

会期|7月17日(月・祝)〜9月3日(日)のレース開催日

開場日時についてはボートレース福岡HPをご確認ください。

入場料|本展チケット付属の入場券提示で入場無料(※本展チケットが無い場合100円)

特別協賛|ポートレース福岡※

アクセス|福岡市中央区那の津1-7-5


(学芸員 趙純恵)