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中国、年画ポスターが映し出すスポーツと社会の関係

現在、アジアギャラリーにて開催中の展覧会「スポーツの祭典-めざせ金メダル!」では、中国の新年画ポスター(中国伝統の吉祥の絵画様式を踏襲したポスター)が4点展示されています。


その内の一点、リー・ムバイ(李慕白)らによる新年画ポスター。一見、若い女性たちがボールで遊んでいる光景のようにも見えますが、、、

その上に赤い文字で書かれた中国語は、

「練好身體増加生産」→「身体を鍛錬し、生産を増加しよう」(日本語意訳)

実は、1950年代の中国では、スポーツは国防と生産力向上を促進する国家政策の一部として位置づけられていていました。なので、スポーツを描いた年画ポスターもまた、体を鍛え国を守り、労働の生産性を上げようというスローガンを伝達する広報メディアでした。

このポスターの反対側には、30年代に上海でカレンダー付年画として活躍したジン・メイション(金梅生) が描いたローラースケートを楽しむ若い女性たちの商業ポスターが。上のポスターより20年も前の作品ですが、当時の国際商業都市、上海のモダンで開放的な空気を表現しているようです。中華人民共和国の成立後、彼もまた社会主義の理念とイデオロギーを表現するポスターを描くようになります。


時代や社会の体制が変わると、描かれる絵のモチーフやテーマもまた大きく変化してしまう。中国の年画ポスターの変遷は、社会の変化と体制が美術や表現にどのような影響を与え得るのかを、そのイメージを通じて教えてもくれるのです。