「アジア美術資料室」使い方指南 第2回
初級編続き。今回は「用語集」から。
項目はまだ40件と多くありませんが、アジア美術特有のカテゴリーを見てみましょう――トップメニューで「用語」をクリックすると、
「洋風画」「伝統美術」「フォーク・アート」「大衆美術」「グループ・運動」「技法」「美術学校」「重要展覧会」というカテゴリーから選ぶことができます。後半の「グループ・運動」「技法」「美術学校」「重要展覧会」なら、日本や欧米の美術でも「ポップ・アート」とか「コラージュ」とか「東京藝大」とか「ドクメンタ」などが想定されますが、
前半の「洋風画」「伝統美術」「フォーク・アート」「大衆美術」は、どうも「現代アート」とはだいぶちがうみたいです。欧米の近代以後のアートは、これらをすべてを超克する・排除する(あるいはつまみぐい的に利用する?)ことで成り立っているといっても過言ではないですから! 「これが美術なの?」と不審がられそうなことを平気でやっているこれらのカテゴリーこそ、「アジア近現代美術」ならではの複雑さ、多層性、そして魅力を示すものといえます。
そこからはいろいろな問題が見えてきます――ヨーロッパの近代美術を学んでそこからいかに独自の様式を見出すか。植民地、独裁制、階級社会などの問題をいかに個人の創造性が突破し、政治的に独立し文化的にも自立し、エリートと大衆のギャップを埋めていくか。それはアジア各地の共通の課題なのですが、逆に考えれば、実は私たちが親しんで自明のものを思ってきた欧米美術(そして日本美術も!)が排除してきたものが見えてくるのです。
なんてつい先走って言ってしまいましたが、まずは、アジ美の所蔵作品・作家へのリンクがあるので、想定外の意外な作品たちにまずは出あってみてください。
(つづく)