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「めえええ~」は「Baaaaaaaa」!?―多言語で絵本の読み聞かせを試行中

 

読み聞かせボランティアが絵本をめくり「めえええ~」と鳴くと、インドの留学生マンダルさんが「Baaaaaaaa」と続きます。聞いていた子どもたちは大笑い。これは、インドの絵本『トラさん、トラさん、木の上に!』のいちページ。気弱なトラが、ヤギの鳴き声に驚いて、思わず木に登ってしまう場面です。ずいぶんとヤギの鳴き声がちがうんですねぇ・・・・。

インドの留学生マンダル・プロネンドゥさんとアジ美ボランティアによる、インドの絵本『トラさん、トラさん、木の上に!』(アヌシュカ・ラビシャンカール文、プラク・ビスワス絵、うちやままりこ訳、評論社、2007年/原題:Tiger On A Tree)の読み聞かせ。


福岡アジア美術館(アジ美)では、2012年よりボランティアによる「アジアの絵本と紙芝居の読み聞かせ」を行ってきました。昨年より、新しい企画として、日本語版が出版されているアジアの絵本を、1ページずつ現地語と日本語とで読み進む、多言語での読み聞かせの試み「絵本でアジアを旅しよう」をはじめました。アジ美は、アジアの近代・現代の美術を紹介する美術館ですから、アジ美にしかできない読み聞かせをしたい!と考え、福岡よかトピア国際交流財団と協力して企画したものです。

韓国の絵本『ピヤキのママ』(ペク・ヒナ作、長谷川義史訳、ブロンズ新社、2022年/原題:삐약이 엄마

 アジアのあちこちで、熱い絵本ブームが到来しています。日本の絵本文化とはまた異なる展開をしていて、美術作家やデザイナーが絵本を作ったり、各地の民俗芸術を取り入れたハンドメイドの絵本作りをしたりと、面白い試みがいっぱいです。とくに、韓国やインド、台湾、スリランカ、中国などの絵本は、たくさん日本語に翻訳されて出版されています。この日本語版とアジアから取り寄せた現地語版を隣り合わせに並べて、1ページずつ読むのが、今回の試みです。

アジア各地の言葉での読み手は、福岡よかトピア国際交流財団にボランティア登録されている福岡在住のアジアの方々。学校や会社だけではなく、自分の言葉を活かして、参加してくださっています。アジ美の絵本の読み聞かせボランティアさんと、事前に絵本の読み合わせの練習をし、同じ絵本でも、現地語版と日本語版とでは、ちょっと挿絵の位置が異なったり、意外な翻訳だったりと、読み手同士でのやり取りも面白いところです。

そして、昨今のグローバル社会。なんと聞き手の子どもたちのなかにも、幼少時アジアで生活していて福岡に戻ったところ、現地語での絵本の読み聞かせが聞きたくて来ました!なんて人もいます。

 今年は、あと3回、台湾(10/8)、スリランカ(1/14)、タイ(3/10)の絵本の日があります。「めえええ~」と「Baaaaaaaa」と聞いて、一緒に絵本でアジアを旅しましょ。

 


学芸員 五十嵐理奈


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<<福岡アジア美術館「アジアの絵本と紙芝居の読み聞かせ」のご案内>>

毎月第2,第4の火曜日と日曜日、①11時半〜12時と②13時~13時半に開催しています。アジアジアの国や地域のお話を、絵本や紙芝居で、お子さまと一緒にお楽しみください。その日参加される方々の年齢や人数にあわせて絵本を選びます。大人の方だけでのご参加も大歓迎です。