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インスタレーション作品制作の舞台裏

 

ただいま2023年度福岡アジア美術館のアーティスト・イン・レジデンス事業(第1期)の成果展が、Artist Cafe Fukuokaおよび福岡アジア美術館にて開催されています。


今年度3組の招聘作家のうち、建築家としても活躍されているオランダ在住のアーティスト・ユニット、ジン・チェさんとトーマス・シャインさんの大型インスタレーション《Power of One 明鏡止水》は、旧舞鶴中学校の体育館を改装したGrand Studioで展示されています。その制作舞台裏を、少しだけご紹介したいと思います。


展示風景。薄く水を張った上に、編み物のレースを用いた立体作品が吊り下げられている。
鑑賞者も水の中に入り作品の一部となることで、展示空間に新たな動きが生まれます

展示会場の水面上に吊り上げられた、いくつもの美しい立体構造物。白く光る大きなレース上の編み物は、すべて7月下旬から9月上旬に開催されたワークショップで制作されました。


参加者が複数のテーブルごとに図面を広げ、編み物をしている。
ワークショップの様子

作家のひとり、ジンさんは事前に日本のお寺や神社の画像を集め、伝統建築の意匠についてリサーチをされました。来日後も福岡市内の寺社を巡り、街中の風景、自然の造形等にも影響を受けながらデザインの修正を重ね、20種類以上の図面を作成。作家が指定した太さ3ミリのポリエステル製の紐を使ってレースが編まれていきました。

テーブルの上に編みかけの紐とかぎ針が置かれている。
ジンさん(作家)が見本として持ってきた編み物の一部

ジンさんは日本語と英語を交えながら、参加者の年齢や経験に応じて図面を選び、慣れた手つきで丁寧に編み方を教えていました。毎回たくさんの方が来られて大忙しのジンさんでしたが、次第にサポーターの方同士でも編み方を教え合う場面が増えたようです。またワークショップをきっかけに、参加者同士の友情の輪が広がったことを非常に喜んでいらっしゃいました。

やわらかい毛糸と異なり、固い質感の紐で編むのに苦労された方も多かったようですが、ワークショップには小さなお子さんも含め最終的に130名を超えるサポーターが参加。作家と一緒に、1か月半弱で無事にすべてのパーツが完成しました。

壁に完成した編み物のレースがかけられている

壁に掛けられた完成作品の一部
お盆明けになると次々に完成作品が届き、拍手が起きました

床の上に広げられたレースを参加者が手で縫い合わせている様子
作業場所を展示会場に移し、糸で丁寧に縫い合わせていきます

フレームに固定されたレースの編み物が床に置かれている
つなぎ合わせられた編み物レースは、木製のフレームに固定されます


設営作業を見守るサポーターや作家の後ろ姿
開幕前の設営作業にも多くのサポーターのご協力をいただきました

作品のそばに立つ作家二人が話している。
展示初日、オープニングトークにて(右:ジン・チェさん、左:トーマス・シャインさん)

とても濃密なワークショップでしたが、実際に完成した作品を目の前にすると、短い間にこんなにたくさんのレースが仕上がったことが信じられないほどです。制作サポーターとしてワークショップにご参加くださったすべての方に、改めて心から感謝をお伝えしたいと思います。みなさん、大変ありがとうございました!


(学芸課・国際交流担当 宮川緑)

 


【第19回アーティスト・イン・レジデンスの成果展ダイアローグ――交信する身体】

期間 2023916 (土) 20231022 (日)

会場

●山本聖子/清水美帆Artist Cafe Fukuoka スタジオ/ギャラリー (中央区城内2-5)9/16-9/2411:0017:00 9/19火は休館・福岡アジア美術館 7 アートカフェ/ロビー(博多区下川端町3-1) 9/16-10/229:3019:30(金曜・土曜は20:00まで)水曜休館

●ジン・チェ&トーマス・シャイン〔チェ+シャイン・アーキテクツ〕Artist Cafe Fukuoka「Grand Studio」(中央区城内2-5)9/16-10/22日の金土日祝、11:00-17:009/16-18, 9/22-24, 9/29-10/1, 10/6-9, 10/13-15,10/20-22

観覧料:入場無料

主催:福岡アジア美術館

問い合わせ:092-263-1100

共催:西日本新聞社